NO.015
2021/10/16
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LIVE KIRISHIMA_connect 第4回 女性だから出来る「ローカルビジネス」を考察。 ゲスト:白水 梨恵氏

霧島リノベーションまちづくり

LIVE KIRISHIMA connect 2021年10月16日

 

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第4回 女性だから出来る「ローカルビジネス」を考察

ゲスト:白水 梨恵氏

 


PROFILE

白水 梨恵(しらみず・りえ)

1987年、鹿児島生まれ。

立命館アジア太平洋大学卒。大学時代に大分県別府市でまちづくり活動に関わる。卒業後は(株)ザッパラスにて全国の特産品EC販売・商品開発に従事。その後、社会起業支援や人材育成を行うNPO法人ETIC.にて移住支援・地域人材育成コーディネーターを経験。

2013年に鹿児島へUターン、2017年には霧島市へIターンし、2019年6月〜Ten-Labへ参画。2021年11月、霧島市横川町の地域活性化を目的とした(一社)横川kitoを立ち上げる。

現在は霧島市・鹿児島市を中心に地域づくり事業を行いながら古民家再生を行っている。そのほか、ライターとしても活動中。3児の母。

現在、一般社団法人「横川kito」代表理事、一般社団法人「鹿児島天文館総合研究所Ten-Lab」執行役員、フリーライター。


×LIVE KIRISHIMA

夫の仕事に伴って鹿児島市から霧島・横川に移住。周囲の人を巻き込みながら、古民家を再生しカフェとショップをオープン。大好きな土地で試行錯誤のなか仕事と子育てをする姿は、ローカルで自分らしく生きたい女性たちに影響を与えている。


 

大好きな地で仕事をつくり、子育てをする幸福度の高いライフスタイル

東京商工リサーチの調査によれば、日本で活動している女性起業家の数はおよそ45万人(2018年時点)。2014年時点のおよそ31万人から比べると、5年間で1.5倍に増加している。

また2020年の日本政策金融公庫総合研究所のデータでは、起業家のうち女性が占める割合は21.4%で、この割合も年々上昇。女性起業家が増え続けている今、女性がローカルで起業することの可能性を霧島・横川の地で地域づくり他の事業を手掛け、また三児の母でもある白水梨恵さんに教えていただいた。


 

―――はじめに白水さんの現在の活動、それから横川でお仕事を始めた経緯について教えていただけますか。

霧島市のいちばん端にある横川町という山の中の町で、一般社団法人を作ってカフェとゲストハウスの運営をしています。詳しく言うと一般社団法人「横川kito」の代表と、離島も含めた鹿児島県内全域のいろんな地域づくりのサポートをしている「Ten-Lab(テンラボ)」という団体にも所属して活動、また他にライター業もやっています。

 

プライベートでは霧島市に住んで6歳・4歳・2歳の子どもを育てながら、仕事をしています。元々は鹿児島市の出身で、霧島には親戚もおらず、縁もゆかりもない土地でした。たまたま夫が霧島で仕事をすることになり、それに伴って霧島市に2017年にIターン移住をしてきました。

 

当時は次男の産後2ヶ月のとき。積極的に外に出ることもなく、知り合いもいなかったので、1年半ぐらいはなかなか霧島に馴染めずにいました。鹿児島市内に帰りたいなと実は思っていたのですが、せっかく霧島という観光でも有名な街に住んでいるので、ちゃんと霧島のことを知りたいなと思うようになったんです。

そこで「霧島スイッチ」という霧島市が主催していたワークショップに参加してみたところ、霧島のことが大好きで、街づくりをがんばっている人たちにたくさん出会いました。そのときに「この人たちがこんなに夢中になっている霧島って、どんなおもしろさがあるんだろう」と関心が生まれ、探っていくうちに、どんどん霧島にハマっていった感じです。

 

横川という町にたどり着くまでも、たどり着いてからも、人との出会いに感化されて、今の仕事の形になっているところが大きいと感じます。そうするうちに自分でも仕事として霧島のまちづくりに関わりたいと思い始めました。そこからたまたま、横川町の地域づくりをサポートするお仕事をいただいて、それが横川町との最初の出会いになりました。

 

そこで出会った、横川町で地域づくりをがんばっている方々がとても魅力的でした。少年の心を持っているおじさんとか、フラットに話せるお母さん世代の方たちとか、60代の方を中心におもしろい方々に出会いました。

横川は町内にスーパーはないので、買い物に行くとなると車で15~20分走らないといけない、決して便利とは言えない場所です。一方で自然がきれいで、街中にはないような良いところがある。それを出会った町の人たちが、純粋に「うちの町いいでしょう?」と話してくださるのが素敵だなと思いました。話していくうちに、この町の人たちの近くで暮らして一緒に何かやっていきたいという気持ちが出てきて、子ども3人と夫の5人で、2020年12月に横川町に引っ越しました。

 

それから2021年4月にカフェを開業して今、運営しています。具体的には「横川kito」という名前のカフェとショップを今、週の後半の4日間営業しています。また店舗運営に加えて霧島市や周辺エリアのまちづくりをするような企画事業も同時にやっていて、そちらは週の前半でやっている形です。

 

横川は人口減少がすごく進んでしまっていて、最近も2年半足らずで300人ぐらい減っています。でも町の中におもしろいポイントがいっぱいあって、例えば鹿児島で一番最初にできた、117年経っている木造の駅舎が現役でちゃんと使われていたり、鎌倉幕府が滅亡した次の年の年号が彫られている断崖絶壁の下に彫られている磨崖仏が山中にあったり、川がすごくきれいだったり…。

知れば知るほど、すごくおもしろい、磨けば光る原石のような町だと私は感じています。実は空港も近いし、高速道路が町内を通っていてアクセスもいいですし、光回線も通っていて、私はリモートで仕事することが多いんですけれど、オンラインの会議やイベントにも特に問題なく横川からつないでいます。

 

そんな横川の良いところを少しでもいろんな人に知ってほしいと思い、自分たちで築90年の元下駄屋さんの建物を1年かけてDIYベースで再生して、カフェを運営しています。現在は2階でゲストハウスを開業するために、絶賛リノベーション中です。

 

そんなふうに霧島・横川の魅力に私はすごくハマっていて、霧島は他の町もおもしろいので、もっと霧島の魅力を掘り起こしていくようなプレーヤーも増やしていきたいと思っています。

 

また私は女性で、起業した経験もあるので、女性の起業を応援する「きりしま女子起業ラボ」というプログラムを今、運営をしています。これから起業を目指す女性の方々に、全5回の講座を受けてもらいながら伴走をして、起業するための事業計画をつくっていくプログラムで、10名の参加者とやっています。

―――ありがとうございます。ローカルに根差したビジネスをするうえで、理想としている人や場所、描いているビジョンを教えてください。

理想としている場所については、本を読んだりして、日本中のいろんな街の要素を勉強しています。横川にしかないないものや霧島にしかできないことがあるので、学んだことをそれに合わせてアレンジしている感じです。

 

描いているビジョンは、横川というより霧島に広げると、アートやクリエイティブ、ものづくりをしている作家に相性がいい土地だと思うんです。これまでまちづくりをがんばってきた方たちが、すごく多様性を受け入れる方々だからかもしれません。

 

実際に横川にも、ものづくりやアート関連のことをしている方がいて相性がいいと感じます。お店を開いてからの半年間でいろいろな人とお話する中で、アートとかクリエイティブ関連の方をどんどん応援することを軸にしてまちづくりをやっていきたいと思うようになりました。

 

「横川kito」のお店を動かしている主力でメンバーも、見た目とか性格もちょっと変わっている人が多いんですが(笑)、地域のおじさんとかおばあちゃんがそれに対して特に何も言わず、仲良くなっていたり「あら、素敵ね」と言って受け入れてくれている環境です。

―――なるほど。白水さんがローカルビジネスをするうえで大事にしていること、ミッションとしていることはどんなことでしょうか?

私がこういうふうに町の中に溶け込んでお仕事をさせてもらえているのは、やっぱりこれまでの土壌があって、十数年かけてがんばってきた地元の方々とか、地域を育ててきた人たちがいるから。そのことをいちばん大事に考えていて、その人たちを蔑ろにしないこと、天狗にならないことに気をつけてやっています。自分がすごいのではなく、皆でやっているんだと常に自分自身に言い聞かせているし、動くときは必ずそういう地域の人に声をかけるようにしています。

 

今の50〜60代で横川でがんばっている方々はあまりSNSに慣れていないことも多いので、志が合うなら、どんどんSNSを使うことに巻き込んでいくのがひとつのミッションと言ってもいいのかなと思います。

―――女性に起業を勧めたいポイントとして、どんな点が挙げられますか? メリットと、気を付けてほしい点も併せて教えてください。

最近は女性に限らず、ライフスタイルが変わる速度がより速くなっていますよね。それに女性であれば出産など、どうしても休まないといけない期間もあります。男性も育休を取りましょうと言われてきてはいますけど、実際に体調が変わったり、変化が大きいのは女性ですよね。

 

そんな女性が自分で仕事をしていると、所属している企業のルールで悩むことがないですし、自分に合わせてルールを作りやすい。社員数や規模によるかもしれませんが、比較的柔軟に対応しやすいですね。私は公私混同しながら仕事をしているので、職場に子どもを連れて行ったりしていて、やりやすいなと思います。

 

気をつけてほしい点は、これは自分に言い聞かせる感じでもあるのですが、私は仕事が好きでどんどんそちらにばかり集中してしまいがちです。子どもにかける時間を忘れたり、家のことがおざなりになったりする部分があって、うちは夫がかなりサポートしてくれていて、最近は夫の家事負担が大きくなっています。家庭内のバランスに気をつけないといけないな、と意識しながら仕事をするようにしています。

 

―――その人や家族に合わせた形で仕事を作れるということが、これからもっと広まってほしいですね。

私自身、今の働き方になって幸福度はかなり上がりました。仕事の場所に自分は仕事をしに行っているんですけど、そこに子どもたちもいて、周りの打ち合わせ相手の方とかも、自然に子どもがそばにいることを受け入れてくれている。それを見ている瞬間に、幸せを感じます。

―――最後に、これからローカルでビジネスをやってみたいという女性の方にメッセージをお願いします。

女性の方がローカルの中に入りやすい傾向はあるかと思います。コミュニケーションが色々な人と取りやすかったり、話しかけやすかったりするので。同時に女性だからやりにくい場面もあります。したたかさや計算高さはある程度必要かもしれませんが、自分の得意技を存分に活かしながら、やってみたら楽しいし、幸福度が上がると思います。

 

私の周りでお子さんを育てている方も、子供たちを連れて職場に来られたり、お母さんががんばっている姿を子どもが日常に間近で見ている。そのことは、子供たちが成長した後、将来の選択肢を増やすことにつながっていると思いますので、素敵なことだと思います。

 

 


(インタビュー・文/小野好美)

この日は「きりしま女子起業ラボ」参加者の方のリアルな声も伺うことができました。白水さんが家族と地域の人とともに、ローカルで自分らしく生きる姿そのものが、多くの女性の希望になっていると感じました。

 

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